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所有マンションを賃貸に出したい場合の流れと注意点

所有マンションを賃貸に出したい場合の流れと注意点
買い換えなどのタイミングで現在所有しているマンションを賃貸に出したい場合、どうすればいいのでしょうか。
今回は、所有物件を賃貸に出す場合の手順をご説明します。

賃貸の募集を誰に相談すればよいのか

いざ賃貸に出そうと考えた時、まずは誰に相談すればよいのでしょうか。

1. 最初にマンションを買った不動産会社に問いあわせ てみる。

最初にマンションを分譲(購入)した不動産会社に賃貸を取り扱う部署がある場合は、そのグループ内で取り扱いをしてもらえることがあります。大手の販売会社であれば賃貸部署があることも多いので一度問い合わせてみましょう。マンションの事を熟知していたり、建物の管理を同じグループ内で行っているケースも珍しくないので、比較的スムーズに話が進みます。

2. 物件の所在地近くの不動産会社に問いあわせてみる

マンションの最寄の駅に店舗を構える不動産会社や、マンション近隣の不動産会社にお願いするのも一つの方法です。物件近くの不動産屋さんは積極的にお部屋を紹介してくれますし、そのエリアで探しているお客様が多いためその分母が多いことも魅力の一つです。インターネットで近くの不動産会社を探したり、直接店舗に電話や訪問を行って相談してみましょう。

3. インターネットでサブリース会社を探して問合せてみる

詳細は後述しますが、賃貸経営には「サブリース」とう仕組みがあります。月々の収入は相場の8割前後と少し下がりますが、空室の時でもサブリース会社から賃料が入るため「空室リスク」はありません。ただし、サブリース可能な物件には築年数や立地などに一定の条件が定められておりますので、全ての物件がサブリース契約を結べるわけではない点に注意が必要です。インターネットでサブリース契約を取り扱っている不動産会社を探し、問い合わせてみることも一つの選択肢です。

賃貸の種類

賃貸の種類には大きく分けて下記の3種類があります。
  1. 自主管理
  2. 管理委託
  3. サブリース(借上げ)
それでは、どのように違うのか説明していきます。

1. 自主管理

自主管理とは、貸主自身でアパート運営を進めていくやり方です。
中には図面の作成から入居者の募集、契約書の作成まで自らの力でこなしてしまう「スーパー大家さん」もいますが、この種類で最も多いのは「入居者の募集・契約業務」は不動産会社に依頼し、入居中の入居者対応を貸主自身が行うというパターンです。
貸主が自己の所有物件を自らで募集する行為は法律的に問題ないのですが、現実的に非効率であることや手間暇を考慮し、募集・契約などは不動産会社に任せることが一般的です。
また、不動産会社と媒介契約を結ぶ際は「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」を選ぶ必要があります。
「一般媒介」とは、複数の不動産会社が募集行為を行うことが出来る契約です。複数の不動産会社が同時に募集行為をおこなう為、貸主は入居者が決まったり、条件の変更をした場合は、契約をしたすべての不動産会社にその旨を知らせなければいけません。
「専任媒介」とは、専任契約をした1社及び貸主のみが募集行為をおこなう事ができる契約です。専任契約を結んだ不動産会社は自社を”発信源”として他の不動産会社へ物件情報を提供します。貸主は契約をした1社のみとやり取りを行います。
「専属専任媒介」とは、専属専任契約をした会社のみが募集行為をおこなう事ができる契約です。貸主は自ら入居者を見つけることはできません。専任契約同様、自社を”発信源”として他の不動産会社へ物件情報を提供し、貸主はこの1社のみとやり取りを行います。

2. 管理委託

管理委託とは、アパート運営を不動産会社(管理会社)に一任するやり方です。
貸主の役目は「入居審査の最終判断」・「設備故障時の最終判断」といった承認行為が主となります。入居者の募集や契約はもちろん、入居者のクレーム対応や賃料の督促業務などは全て不動産会社(管理会社)の仕事です。基本は不動産会社を通して入居者とのやり取りになりますので、直接貸主と入居者がやりとりをする事はありません。ただし、敷金の預かりなどは貸主にて行いますので、退去の際の敷金返金や原状回復費用などの支払いは貸主にて行う必要があります。
管理委託を結ぶということは、その不動産会社に「専任」もしくは「専属専任」で募集を依頼する事が一般的です。特定の不動産会社に管理を委託し、募集は「一般」で行う行為が物理的にできないわけではありませんが、管理委託契約の条件に【募集については「専任」または「専属専任」】と定めている不動産会社が殆どです。

3. サブリース(借上げ)

サブリースとは貸主がサブリース会社に賃貸し、その部屋をサブリース会社が入居者に「転貸」するやり方です。
この場合、貸主は最初にサブリース会社と賃貸契約を行っているため、その後の入居者選定や契約業務などは一切行いません。家賃や敷金礼金などの条件設定から入居審査、契約まで全てサブリース会社が行うため、貸主が入居者の審査承認をしたり、契約書に印を押すことはありません。また、入居中のクレーム対応や家賃の回収なども全てサブリース会社が行います。敷金もサブリース会社が預かりますので、小規模な修繕や退去時の原状回復費用なども原則はサブリース会社が清算・負担します。ただし、設備の経年的な劣化については所有者の負担で修理・交換となるのが原則です。
サブリース会社は貸主から相場より安く賃貸し、それを相場で転貸する事で利益を得ているため、貸主の手元に入る家賃は相場の80~90%ほどです。その代わり、空室の期間でも家賃は払われ続けるため「空室リスク」は一切ありません。サブリース契約が長くなると、数年に一度借上げ賃料の見直しも行われます。最初に契約する際には、しっかり契約内容を確認することを心掛けてください。

所有物件を賃貸に出す場合に決めること

所有物件を賃貸に出す際に、まず貸主側で決めておかなければいけないことが2つほどあります。

1. 賃貸管理を依頼するか、募集のみを依頼するか

不動産会社に依頼する際、「賃貸管理」も含めて依頼をするか、「募集のみ」を依頼するかをまずは決めることになります。
「賃貸管理」を依頼する場合は、毎月一定の管理費を管理会社に支払う必要があります。管理費の相場は賃料の3%~5%で、家賃保証をするか否かで変わることが多い傾向です。
「家賃保証」とは万一入居者から家賃が入らなくても、一度保証会社などが立て替えて貸主に支払うため、家賃が入らないという心配はありません。一方、家賃保証がない場合は、管理会社は文字通り保証をしておりませんので、入居者が支払わない限り家賃は入ってきません。つまり、管理会社の役割は入居者に「支払いを促すところまで」となります。
賃貸管理のみだと3%(別税)、家賃保証まで委託すると5%(別税)というのが相場になります。
「募集のみ」を依頼する場合は、月々の管理費を支払う必要はありません。その代わり、入居中のクレーム対応や滞納の督促等は自分で行わなければいけません。契約書にも「管理の委託先」として貸主の連絡先が記載されますので、入居者は何かあれば貸主に直接連絡をすることになります。賃貸経営に慣れている人であれば自主管理を行うことで経費を削減する事が出来ますが、慣れていないと大変な業務となります。入居者からのクレーム対応や設備故障時の修理対応はもちろんのこと、契約満期を迎える前に更新の通知を行ったり、退去の際の原状回復手配なども原則は貸主で行う必要があります。ただし、更新手続きや原状回復の手配などは、募集を依頼した会社がスポット対応してくれることが殆どです。
※スポット対応を依頼する場合、別途費用が発生します
募集契約を締結する際に、更新と退去の手続きはどうするかなど、最初に不動産会社とよく話し合ってから媒介契約を行ってください。

2. 現在室内にある設備のうち、残置物扱いにするものはあるか

募集時に室内にある設備のうち、どこまでを設備にするかを最初に決める必要があります。設備としないものは「残置物」といい、貸主が所有権を放棄した設備ということになります。そのため、故障の際の修理義務がない代わりに、入居者が廃棄したり退去の際に持ち去ってしまっても貸主は異議を唱えることはできません。
下記は主な設備の種類です。
◆エアコン ◆照明器具 ◆ウォシュレット ◆食器洗い洗浄機 ◆浄水器 ◆瞬間湯沸かし器など
同じ設備でもマンションにもともと付随している給湯器や換気扇などの生活必需品は、原則設備として扱います。
エアコンや照明器具は複数台ある事例も多く、すべてを設備にするか、主要な1か所だけを設備にするかなどを決める必要があります。
【設備にすると…】入居中の修繕は借主の故意過失でない限り貸主が費用を負担します。貸主 の持ち物になりますので、入居者が故意過失で破損汚損したり、退去の際に誤って持って行ってしまった場合は弁償・返却を求める権利があります。設備にしておくことで、募集活動が有利になり早期の契約につながります。
【残置物にすると…】入居中に故障が起きた場合でも、貸主は費用を負担する必要はありません。ただし、所有権を主張することはできませんので、借り主が自己の判断で撤去する事ができます。また、募集時は不利になるため空室リスクが高まります。

費用について

所有物件を賃貸に出すという事はマンション経営を始めるということになりますので、経費(費用)も当然伴います。
下記は賃貸運営を行うにあたって発生する主な費用例をお知らせします。

募集時にかかる費用

a)成約報酬
不動産会社がマンションの募集を行う際、インターネットに物件情報を公開したり、募集用の図面の作成などを行います。当然これらには全て費用がかかります。しかし、不動産会社は募集でかかる掲載費用や図面の作成費、人件費などを貸主に請求する事はありません。このような費用は全て不動産会社の経費で賄い、報酬は賃貸契約が成約した際に「成約報酬」として成約賃料の1か月分+消費税を支払います。一般的には成約時に入居者から頂く礼金(1か月分)に消費税をのせて相殺することが多いですが、早期成約のために礼金を0にして募集した場合には、貸主は自己資金から成約報酬を支払う事になります。
b)広告宣伝費
広告宣伝費とは、エンドユーザーへの物件紹介機会を増やすために不動産仲介会社へ支払う報酬です。これは絶対に必要な費用ではなく、あくまでも「早期客付け」のためのオプションのような性質をもっています。不動産会社はどんなに頑張って募集活動を行っても、成約しなければ1円にもなりません。そのため、成約した際にはすこしでも多くの報酬がもらえる物件から優先して紹介する傾向にあります。貸主から「広告宣伝費」(呼び方は色々あります)を不動産仲介会社に支払う事で営業マンのやる気を引き出し、1人でも多くのお客様に物件を紹介してもらう機会を増やす事ができます。
※ここでいう不動産仲介会社とは専任(専属)契約を結んだ不動産会社(元付会社といいます)ではなく、元付会社から物件情報を受け取った別の不動産会社(客付け会社といいます)の事を指します。

賃貸中にかかる費用

a)管理委託料
不動産会社(管理会社)と管理委託契約を結ぶと管理委託料がかかります。費用は管理会社によって異なりますが、月額賃料の3~5%(別途税)で定めている場合が多いようです。
b)設備故障時の修復費用
入居期間中に設備故障がおきた場合は、貸主にて修理費用を負担します。自主管理の場合は業者の手配を自分で行う必要がありますが、管理委託をしている場合は管理会社より修理費用の見積りを提示されることが一般的です。
もちろん見積りに納得ができなければ他の業者での再見積りを依頼したり、自分で業者を見つけることも可能です。ただ、あまり時間をかけてしまうと入居者に迷惑をかけることになりますので、迅速な対応が必要です。
なお、借主の故意過失による破損汚損については借主負担となり、貸主にて修理費用を負担する必要はありません。

退去時にかかる費用

a)入居年数に応じたクロスの貼替費用
入居者が退去をした後は、次の入居者を迎えるために室内を整える必要があります。壁紙については汚れや破れがなければ貼り替えなくても大丈夫ですが、汚れや損傷は激しい場合は貼替が必要です。
貼替費用は入居年数に応じて貸主と借主の負担割合が定められています。壁紙は6年で消耗するとされているため、6年経過すると借主の負担割合はなくなります。
そのため、それ入居期間が6年以上の貼替費用は全額貸主の負担となります。
b)借主の過失ではない経年による故障、損傷の修復費用
室内設備に経年による故障や損傷がある場合は、貸主の負担で修理を行ってから次の入居者へ引き渡す義務があります。

ルームクリーニングについて

お部屋を賃貸する際は、室内のルームクリーニングをきちんと行う事が原則です。ルームクリーニングがきちんとされていないと次の入居者が決まりにくい上、入居後のトラブルにも繋がります。
いつどのタイミングでクリーニングを行うかは貸主の自由ですが、基本的には募集を始める時には行っておく方が無難でしょう。
a)最初に賃貸に出す際は所有者負担でクリーニングを行う
初めて賃貸に出す時は、貸主の負担でクリーニングを手配しましょう。自分でクリーニングをしてもいいのですが、プロに頼むことで後々のトラブル防止となります。
目に見える部分は自分でもできますが、エアコンクリーニングや換気扇内部のクリーニングなどは専門業者にお願いする方がいいでしょう。
b)2回転目以降は入居者からクリーニング費用をもらうのが主流
厳密にいうと、2回転目以降のクリーニング費用も貸主が負担する必要があります。しかし、最近は”特約”として入居者にルームクリーニング費用を負担してもらうやり方が主流となっています。
退去の際に預かり敷金から一定のクリーニング費用を差し引く方法と、契約時に「ルームクリーニング費用」という名目で予めもらっておく方法があります。

リフォームについて

室内のリフォームについては必須事項ではありませんが、お部屋の状況次第ではリフォームを行った方がいい場合もあります。不動産会社と媒介契約すると、不動産会社は 必ずお部屋のチェックを行います。
その際、お部屋の状況によっては不動産会社からリフォームを提案されることもありますので、提案されたら一度検討してみましょう。
もちろんやるかやらないかの判断は貸主次第ですが、お部屋を探す人も綺麗なお部屋を望んでいますので、借主目線で考えた時に「住みたくないな」と思われるようなお部屋だと成約までに時間がかかると考えましょう。

できるだけ行った方がいいもの

リフォームの中でも「やらないとそもそも決まりにくい」リフォームと「やれば早く決まりやすい」リフォームがあります。
前者に該当するものが下記のような項目です。
  1. クロスの貼替
  2. クッションフロアの貼替
  3. 畳表替え
これらは綺麗でないと見た目の印象が良くない為、入居者が決まりにくくなります。
貸主にとって「空室期間」というのが一番の損益となりますので、1日でも早く入居してもらうためにもできるだけ行った方がよいでしょう。

早期契約のために推奨するもの

下記は、現在設置されている設備があまりにも旧式の場合は、リフォームを行うことで早期契約に繋がります。
ただ、これらは無理してリフォームをしなくても、設備に見合う賃料設定にすることで契約に繋げることは可能です。
  1. 水回り(キッチン・お風呂・トイレ・洗面台)交換
  2. エアコン交換
  3. フローリング交換
エアコンなどは壊れたらいつかは貸主負担で交換しなければいけませんが、使えるうちはそのままで貸し出すことも珍しくはありません。
フローリングはクッションフロアと違って消耗品ではありませんので交換は基本的には必要ないのですが、あまりにも傷が多かったり等の劣化が多々見られる場合は、一度交換する事で印象が一気に変わります。

注意点

最後に賃貸に出す際の注意点を述べておきます。大事な内容ですので賃貸に出す時には必ず確認してください。

ローンの残債がある場合は、アパートローン(事業用ローン)に切り替えましょう

貸し出す物件にまだ残債(住宅ローン)が残ってる場合は、アパートローン(事業用ローン)に切り替える必要があります。 これを怠り、万一賃貸で出していることが債権者(銀行等)にばれた場合は、残債の一括返済を求められる可能性がありますので注意しましょう。

登記簿を確認しましょう

例えば、親の所有物件を子供が賃貸に出す場合など、登記簿に記載された所有者と貸主が異なる場合は、所有者と貸主の間でトラブルが起きないよう書面の取り交わし等を行うことをおすすめします。
書面の取り交わしは義務ではありませんが、万一将来的に家族間トラブル等が発生し、それに伴い所有者が賃貸経営の反対などを行うと、貸主は賃貸経営を続けることはできなくなります。
貸主都合での契約解除となりますので、借り主に対しての損害賠償なども発生します。共有名義などの場合も同じです。
自分以外に所有権者がいる場合は、後々のトラブルを避けるためにあらかじめ対策をしておきましょう。

管理費の支払い

分譲マンションを購入すると、管理組合に管理費や修繕費を払うことになります。
しかし、この費用を借主に請求する事はできません。
そのため、管理費や修繕費は引き続き貸主が管理組合へ支払います。
つまり、貸主はこの費用も計算した上で賃料を設定する必要があります。
例えば、ローン返済  月7万円、管理費1万円、修繕費5,000円の場合は、最低でも8万5000円以上で貸し出さないと赤字になります。
これに加え、将来的に設備の修繕費用などがかかる可能性を考えると、最低でも9万円以上で貸し出したいところです。それ以上の賃料設定については、相場などをよく考え、不動産会社と相談しながら最適な賃料を設定しましょう。
なお、賃貸でも「管理費」という名目の費用をよく見かけますが、これは上記の管理費とは性質が異なります。賃貸でいう「管理費」は貸主がその管理費をどこかに別の場所へ支払っているわけではありません。結局のところ、賃料も管理費もすべて貸主の手元に入ります。
では、なぜ「管理費」という名目の費用があるのでしょうか?それは、募集の際の見た目の問題のみというのが実状です。例えば、「賃料72000円」という表記より「賃料69000円、管理費3000円」と表記したほうが見た目も安く見えますし、インターネットなどの検索でも引っ掛かりやすくなります。
一見詐欺のように見えるかもしれませんが、借り主にとっても賃料と管理費が分かれていた方がメリットがあるのです。
なぜなら、敷金、礼金、仲介手数料、更新料などは「賃料の●カ月分」と決まっているからです。
つまり、月額の総額が同じ72000円であっても、賃料と管理費で分けられていることで初回契約時や更新時に支払う費用が異なってきます。賃料と管理費にわけるか否かは貸主次第ですので、媒介契約を結ぶ際は不動産会社とよく相談してください。

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