住宅ローンを使って中古マンションを購入後、購入した物件を賃貸に出すことは可能なのでしょうか?今回は、住宅ローンを利用して中古マンションを購入した場合の賃貸への移行について説明していきたいと思います。
1. 賃貸に出す事は基本的にNG
住宅ローンは「住むための家を買うためのローン」です。つまり、基本的には本人やその家族が住むための家を購入するためのローンとなりますので、賃貸の目的には利用できません。金融機関の定める使途要綱にも「本人居住用の土地・住宅の購入、住宅の新築・増築・改装、底地の買い取り資金」と記載されています。そのため、無断で賃貸に出すとペナルティを課せられることもありますので注意しましょう。
2. 賃貸に出す事が認められるケース
それでも、どうしても賃貸に出さないといけないようなやむを得ない事情がある場合もあります。その場合、金融機関に相談することで賃貸に出す事が可能になることもありますので、まずは一度金融機関に相談してください。以下は相談ができる可能性が高い事例です。
所有マンションを賃貸に出したい場合の流れと注意点も御覧ください。
転勤
急な転勤などで一時的に住むことが困難な場合、賃貸に変更できるケースがあります。金融機関 によっては賃貸に出す期間を3年・5年と定めている場合もありますので、よく確認しましょう。
長期療養
入院などで長期の療養を余儀なくされた、という場合は一時的に賃貸にできることもあります。
親(家族)の介護
親や家族の介護等で一時的に帰省をするといった場合です。転勤同様一定の期間が定められる場合もありますが、比較的相談に乗ってもらいやすい事例です。
3. 賃貸に出す方法
住宅ローン返済中のマンションを賃貸に出すためには、きちんと手続きをしなければいけません。
手続きの方法は大きく分けて以下の2つです。
住宅ローンを借りている金融機関に相談し、アパートローンなどに切り替える
まずは、現在返済中の金融機関に相談しましょう。賃貸に出す理由が2で記載したような事例の場合は、現在の住宅ローンを返済しながら賃貸に出せる可能性があります。(ただし、継続して支払いができると銀行及び保証会社が判断した場合に限ります)
永続的に賃貸に出す場合は、原則アパートローン(賃貸ローン)に切り替える必要があります。借入先の金融機関の賃貸用のローンへ切り替えを行いましょう。
他の金融機関で投資用で借り換える
フラット35で返済中、もしくは現在借入を行っている金融機関でアパートローンの取り扱いがないなどの場合は、他の金融機関で借り換える必要があります。アパートローンは住宅ローンと比べて審査が厳しいため、大手の都市銀行では通りにくい傾向にあります。もし都市銀行での審査が厳しい場合は地方銀行や信用金庫などで相談してみるのも一つの手段です。
4. 黙って賃貸に出した場合どうなる?
「黙ってればばれないだろう」などといった安易な考えで賃貸に出す事は大変危険です。金融機関によっては大きなペナルティーを課せられる場合もありますので注意しましょう。
金融機関から契約違反として一括返済を求められる可能性がある。
前述した通り、住宅ローンは「本人が居住する物件を購入するためのローン」となりますので、本人が住まない場合は契約違反となります。そのため、契約違反として残債の一括返済を求められる可能性があり、一括返済ができない場合は抵当権が実行され物件を差し押さえられることがあります。
金融機関からアパートローンなどへの切り替えを求められる
一括返済は求められなくても、アパートローン(賃貸ローン)への切り替えを求められます。金融機関から切り替えを求められたら必ず切り替えを行いましょう。
5. アパートローンに変更すると何が変わる?
では、住宅ローンとアパートローンの違いは何でしょう?住宅ローンからアパートローンに切り替えることで起きる事例を説明します。
金利が上がる
一般的に住宅ローンよりアパートローンのような事業用のローンは金利が高く設定されています。アパートローンの金利は物件の資産性、収益性、事業計画など様々な観点から審査を行い、それによって金利優遇や上乗せをする事で決定します。金利は金融機関によってもだいぶ異なりますが、3%~5%が一般的です。
住宅ローン控除が受けられなくなる
住宅ローン控除をまだ受けている場合、ローン控除は受けることが出来なくなります。仮に、転勤等一時的な賃貸であっても、賃貸に出している期間は住宅ローン控除は受けられません。ただし、転勤などから戻って再度住み始める場合は残りの期間については改めて住宅ローン控除を受けることが可能です。下記は途中で賃貸に出した場合の住宅ローン控除の適用事例です。
このように、住宅ローン控除は10年間受けることが可能ですが、そのうち賃貸に出している期間は控除を受けることが出来ません。
そのため、左記の事例は10年間のうち合計6年間が住宅ローン控除の対象期間となります。
6. まとめ
最後に重要なところをまとめていきます。
下記は重要なポイントになりますので、よく理解しておきましょう
- 住宅ローンを利用してマンションを購入した場合、基本的には賃貸に出すことはNG。
- 転勤・介護等やむを得ない事情の場合は賃貸に出せる場合もある。
- 賃貸に出す場合は金融機関に相談する。
- 黙って賃貸に出すとペナルティーを課せられる場合がある。