専有部と共用部の違い
マンションには専有部と呼ばれる場所と、共用部と呼ばれる場所があります。これは皆さん知っているようで意外と知らないことも多いので、その場所の所有権が誰にあるのかをしっかり把握しておきましょう。
専有部とは
専有部とは分かりやすくいうと玄関のドアを入った内側のスペースになります。より細かく説明すると、コンクリートの躯体の内側である居住スペースとなります。専有部の所有権は当然ですが区分所有者にあります。
【具体的には下記の部分です】
- 居住スペース
- メーターより内側の配管
- メーターより内側の配線
- 玄関扉の錠
- 室内側の排水管やダクト
共用部とは
一方で上記専有部以外は全て共用部となります。しかし、共用部と専有部の線引きは意外と曖昧で管理組合によって異なる場合もありますので、マンションの管理組合に確認する方がいいでしょう。また、共用部はマンションの所有者の共用の施設(設備)となりますので、無断でリフォームなどをする事はできません。
【具体的には下記の部分です】
- 躯体部分(支柱、屋根、外壁など)
- 躯体のコンクリート
- 共用廊下及び階段
- バルコニー、ルーフバルコニー
- 室外機置き場
- メーターボックス
- エントランス
- エレベーター
- 駐車場
- 駐輪場
- 宅配ボックス
- 住宅用火災警報器
- 連動型インターフォン
専用使用権について
専有部・共用部の他に「専用使用権」というものがあります。これは、「共用部ではあるが、使用できるのはこの権利をもつ者のみ」という箇所になります。専用使用権の場合、日常の清掃などの維持管理は区分所有者で行いますが、リフォームや撤去などは勝手にはできません。
【具体的には下記の部分です】
- 専用庭
- 契約をしている区画の駐車場や駐輪場
- バルコニー(ルーフバルコニー)
- 契約をしている区画のトランクルーム
- 玄関ドア(外側)
- 窓(外側)
- アルコープ
- ポーチ
- メールボックス
専有部と共用部の紛らわしい部分
専有部と共用部には紛らわしい部分が多くあります。下記は一般的な事例を述べていますが、管理組合によってはルールが異なる場合があります。
- 玄関ドアの内側は専有部だけど、ドアの外側の部分は共用部
- 窓の内側は専有部だけど、窓の外側は共用部
- 窓枠は共用部
- ネームプレートは共用部
修理・リフォームする場合の注意点
次に、修繕の義務やリフォームの権利は誰(どこ)にあるのかも確認しておきましょう。
修理
- 専有部・・・区分所有者
- 共用部・・・管理組合
- 専用使用権・・・管理組合
ただし、住宅用火災警報器や連動型インターフォンなど管理上共用部でも、破損の際は個人負担で修理を行う場合もあります。これらは管理組合によって個別に定められていますので、契約の際によく確認してください。
リフォーム
専用部・・・・専用部の場合、室内のリフォームは基本的には区分所有者が自由に行えます。ただし、躯体に影響を及ぼすようなリフォームなどはできません。また、床の素材なども管理組合によって決められている場合が殆どですので、発注前に必ず確認が必要です。なお、大体の分譲マンションは事前に申請と理事長などの承認が必要となります。これを怠ると管理規約違反となり、クレームなどにもつながりますので、いつまでに申請をしなければいけないかなど、きちんと把握しましょう。(
リフォームについてはこちらも参考に確認ください)
共用部・・・・共用部のリフォームはそこが専用使用権の場所であっても無断で行う事は出来ません。共用部の変更等は、管理組合の決議をもって初めて承認されます。
Q&A
次に、お客様からよく寄せられる質問をQ&A方式でお応えしていきます。
Q1. カーペットをフローリングにしたいのですが大丈夫でしょうか?
A. 管理規約に違反しなければ大丈夫です。
マンションによっては、騒音防止のため床の素材をカーペットに限定しているところもあります。その場合はカーペット以外の素材に変更する事は出来ませんが、とくにカーペットの指定がないマンションであれば変更は可能です。ただし、フローリングの素材が決められている場合が多いので、管理規約を確認するようにしましょう。
Q2. 窓を交換したいのですが可能ですか?
A. 破損における修繕であれば原則可能です。破損以外の場合は不可能な場合が一般的です。
窓については管理組合によってルールが様々ですので、まずは一度管理会社に確認してください。故意や過失によってガラスが割れたという場合は個人負担で交換(修理)できる場合が多い傾向です。
Q3. 玄関扉をリフォームしたい
A. 原則不可能です。
玄関扉は外側部分が共用部に分類されるため、交換などのリフォームはできません。しかし、玄関内側の部分は専有部になりますので、内側の塗装であれば塗り替える等のリフォームは可能です。
Q4. 横並びで部屋を2部屋購入し、壁を壊して1つの大きな部屋にしても大丈夫ですか?
A. 不可能です。
躯体は共用部になりますので、躯体に影響を及ぼすリフォーム工事ができません。躯体を変更する事でマンションの強度が変わる(弱体化する)可能性もありますので、仮に管理組合に申請をしたとしても通る可能性は極めて低いでしょう。
Q5. バルコニーで家庭菜園をすることはできますか?
A. ルールを守って、常識の範囲内であれば可能です。
バルコニーは共用部であり、緊急時の避難経路となっています。そのため、避難経路を塞ぐような家庭菜園(ガーデニング)はできません。また、バルコニーの外側に鉢をかけるような行為は落下した際に危険なのでやめましょう。なお、家庭菜園やガーデニングを行う場合は、土や落ち葉で排水溝をつまらせたり、水を大量に与えすぎて階下に浸水などが起きないよう十分に注意してください。ルールを守って楽しみましょう。
Q6. ルーフバルコニーでバーベキューはできますか?
A. マンションの管理規約やルールを守っていれば可能です。
マンションの管理規約では「騒音、振動、悪臭及び煤煙等を発生させる行為」「引火、発火及び爆発のおそれのある物品の製造、所持又は持込み 」を禁止してる組合が殆どです。
例えば、室内で調理した料理をルーフバルコニーで食べる行為はなんら問題ありませんし、無煙ロースターなどで煙や匂いが出ないものであればセーフともいえるでしょう。
ただし、友人などを呼んでのバーべキューとなると、自然と声のボリュームも大きくなり、近隣住民への迷惑行為となることで規約違反となります。また、カセットコンロや炭などで火をおこす行為などは原則どこのマンションでもNGでしょう。ホットプレートやIHヒーターなどでの調理の場合は、煙や匂いが問題となる恐れがあるので、周囲に迷惑がかからないよう配慮する事が大切です。言い換えれば、他の方に迷惑がかからないように配慮すれば、バーベキューやパーティーをルーフバルコニーや専用庭でやっても問題はありません。マンションによっては、明確に「バーベキュー禁止」と示しているところもありますので、必ずマンションの管理規約を確認するようにしてください。
まとめ
今回は専有部と共用部の違いについて説明しましたが、専有部と共用部の線引きは曖昧で管理組合ごとに異なるため、必ず管理組合や管理会社に確認をし、自己判断しないようにしましょう。
リフォーム箇所が室内であっても、騒音等のトラブルに繋がることもありますので事前にしっかり申請などを行い、上下左右の居住者への配慮を忘れないようにしてください。マンションは一人のものではなく大勢の人の共有資産であることを常に心がけて行動しましょう。