さて、どこの金融機関で融資を受ければいいのでしょう?
不動産会社提携の金融機関を利用される方もいれば、ご自身でお探しになる方もいます。
住宅ローンを取り扱う金融機関の種類は大きく以下の5つにわけることが出来ます。
- メガバンク(都市銀行)
- 地方銀行
- 信用金庫
- ネット銀行
- フラット35
それでは、それぞれの金融機関の特徴などを以下にまとめていきます。
メガバンク(都市銀行)
メガガンクの特徴
経営体力(資金力)に余裕があるため、比較的金利が安めに設定されています。
倒産リスクが少ないため、長期的な付き合い面を考えると安心です。
また、審査スピードも早めです。(提携ローンなら2~3営業日が目安)
人気物件の場合、審査スピードも大切になりますので、その点で大きなメリットと言えるでしょう。
また、保証も手厚いものが多く、三大疾病や七大疾病、火災保険など割引価格で加入できる商品もあります。
通常、ローン契約時には団体信用保険が加入条件になっている金融機関が多いのですが、都市銀行はワイド団信(※1)の取り扱いなど、団体信用保険に健康上の理由などで入れない人もカバーできる金融機関も多くあり、住宅ローンの受け入れ視野が広いことも特徴です。
また、自己資金を積み増せば永住権のない外国の方でも加入できる銀行もあります。
ただ、審査金利などが高く設定されていることが多く、借入額を伸ばしにくいというデメリットがあります。
※「ワイド団信」とは、保険の引受範囲を拡大することで、一般の団信より加入しやすくしている団信です。例えば、高血圧症、糖尿病、肝機能障害などの理由で、一般の団信に加入できなかった人も加入できる可能性があるとされています。ただし、どの程度の症状であれば加入できるのか、明確な基準は公表されていないため、申し込み時点では加入できるかどうかはわかりません。
メガバンクの金利
変動であれば、優遇金利の適用を受けて0.5%前後の金利に設定されているところが多い印象です。
以下、2020年4月時点における各金融機関の最大優遇適用時の金利です。
メガバンク(都市銀行)が向いている人
・信用度の高い大きな銀行から借りたい人メガバンクは倒産リスクが少ないことから信用度が高く、長期的な目線で考えるととても安心です。
・住宅ローンについての知識がなく、対面で相談したい人メガバンクは基本邸に全国に店舗があります。そのため、お近くの支店などに気軽に立ち寄ることが出来るメリットがあり、対面での相談がしやすさがあります。
・安定したサービスを希望する人保険商品など、手厚い保証を多く用意している金融機関が多いため、安定したサービスを受けることが出来ます。
・大手企業に勤めている方・高年収の方大手企業に勤めている方・高年収と判断される方は、比較的金利の優遇が受けやすいため、向いていると言えます。
メガバンクが向いていない人
・借入を伸ばしたい人メガバンクは審査金利が高めに設定されているため、借入額が伸びにくい傾向にあります。借入を少しでも伸ばしたい人はメガバンクは不向きです。
・審査に不安がある人個人事業主などで、確定申告で税金対策をされていたり、何か審査に不安を覚えるような心当たり がある人はメガバンクは不向きと言えます。
地方銀行
地方銀行の特徴
地方銀行がメガバンクと大きく異なるのは経営体力(資金力)です。
どうしても規模が小さくなりがちな地方銀行は、同じリスクを取ろうすると金利面を高くせざるを得ないのが現状です。
その代わり、地方銀行は地域密着のため小回りが効く強さがあります。
そして、地方銀行はメガバンクと比べるとにお客様の数が少ないため、比較的難しい案件でも極力取り込もうと考え、別の角度からの申し込みを提案してくれたりなど柔軟に対応してくれます。(その分金利が高くなることもあります)
地方銀行の金利
変動であれば、優遇金利の適用を受けて0.8%前後の金利を設定しているところが多い印象です。
以下、2020年4月時点における各金融機関の最大優遇適用時の金利です。
地方銀行が向いている人
・地元で気軽に対面対応してほしい人地域密着のため、地元で店舗を多数展開しています。メガバンクやネットバンクとの差別化を図るため、独自の手厚いサービスがあるところもあります。
・急いで手続きなどの個別対応をしてもらいたい人勤続年数が短い人・年収の高くない人でも、比較的審査が通りやすいなどといった特徴があるので、お急ぎの場合はおすすめです。
地方銀行が向いていない人
・低金利で借りたい人なかには横浜銀行のように地方銀行でも低金利の銀行もありますが、全体的には金利は高めです。金利に拘る人は向きません。
・安定したサービスを求める人地方銀行は地域経済に連動するので、財務基盤にはその地域の経済状況次第です。地方銀行が不安定というわけではありませんが、メガバンクと比べると安定度はやや劣ります。
信用金庫
信用金庫の特徴
信用金庫は営利が主目的でなく、地域社会の利益が優先です。営業地域に管轄があり、活動範囲が限定されるなど、地域の発展に貢献する側面が強い傾向にあります。
そのため、メガバンクでは中々通りにくい個人事業主の方でも積極的に相談に応じてくれます。その人の人柄も考慮してくれるなど、書類上では分からない側面を重視するなど、信用金庫独自の目線で審査をしてくれます。これは、信用金庫は銀行ではないため、銀行とは組織の趣旨や成り立ちが異なるためです。
「銀行法」の下で株主の利益を優先する銀行とは違い、信用金庫は「信用金庫法」という法の下、地域住民が会員となって地域の繁栄を図っています。そのため、信用金庫で住宅ローンを組むと、「出資金」という名目の費用が発生し、後日「出資会員加入承諾書」とうい証書が発行されることになります。
信用金庫の金利
金利は地域によって格差があります。0.6%台~1.4%台など、その差も顕著です。
また、ほとんどの信用金庫は優遇金利を受けるための条件を定めています。
以下、2020年4月時点における各金融機関の最大優遇適用時の金利です。
信用金庫が向いている人
・個人事業主の人都市銀行などで審査が通りにくい個人事業主のも、信用金庫独自の審査をしてくれるため、比較的相談しやすい環境にあります。
・細かい相談をしたい人店舗や事務所併用の住宅など、他の金融機関では相談が難しい案件でも柔軟に対応してくれます。
信用金庫が向いていない人
・金利や初期の費用を抑えたい人都市銀行やネット銀行と比べると金利は比較的高くなります。また、会員になるための出資金など、銀行では求められない費用が発生します。
ネット銀行
ネット銀行の特徴
ネット銀行は、ほとんどはインターネット上での取引を中心としていて、対面で相談できる店舗をもっていません。(新生銀行など店舗を持つ銀行もあります)
ネットのみで申込みが完了するため、人件費を抑えることが出来るなどの面でコスト削減を図っており、金利も業界最低値にもっていくことが可能です。保証料がかからないケースも多めです。
また、審査に時間がかかることも多く、手数料も高い傾向にあります。
最近ではネット銀行でも提携ローンが増えていたり、メガバンクでもネット型の商品がどんどん登場していたりなど、主流の一つになりつつもあります。
ネット銀行の金利
金利は業界最低金利を実現できます。0.399%から適用される銀行もあり、格安です。
以下、2020年4月時点における各金融機関の最大優遇適用時の金利です。
ネット銀行が向いている人
・低い金利でコストを抑えたい人ネット銀行の最大の特徴は金利が安いことです。金利を重視する人には大変お勧めです。
・自分で情報を得て判断できる人ネット銀行は基本的には対面での相談が出来ないところが殆どです。最近は電話やオンラインなどで質問ができる銀行が増えてきましたが、他の銀行よりも比較的自分で調べたり判断したりする力が必要となります。
調べものなどが苦でない人には向いています。
・忙しくて来店する時間がない人ネット銀行はネットで完結することが殆どですので、店舗に行って申込などをする時間が取れない忙しい人にはおすすめです。
・自分で申込手続きができる人書類集めやデータをアップロードするなどの作業を自分で行わなければいけないため、そのような作業が苦でない人には向いています。
ネット銀行が向いていない人
・担当の人に色々と相談したい人申込前などに色々と細かい相談したい人はあまり向きません。最近はサービスも充実しており、スカイプなどで相談できる銀行も増えてはいますが、他の銀行と比べるとまだまだ充実はしていません。色々と聞きたい人には向きません。
・入力作業やアップロードなどの作業が嫌い(苦手)な人ネット銀行は金利が安い分、基本的には申込手続きをご自身で全て行って頂く必要があります。書類の準備、提出(アップロード)などが嫌い(苦手)な人は向きません。
・審査に不安がある人ネット銀行の審査は厳しめです。そのため安定した収入のある人が前提となりますので、自営業や個人事業主の人などは通りにくい傾向にあります。
フラット35
フラット35の特徴
フラット35は民間の金融機関と住宅金融支援機構 が提携して提供している長期固定金利の住宅ローンです。しかし、すべての金融機関で利用できるわけではなく、取り扱いのある金融機関と取り扱いのない金融機関とに分かれます。
フラット35の取り扱いがある民間銀行
・りそな銀行 ・みずほ銀行 ・楽天銀行 ・住信SBIネット銀行 ・イオン銀行など
また、フラット35を専門に取り扱う住宅ローン専門の機関もあります。
・ARUHI ・FBモーゲージ ・優良住宅ローンなど
フラット35は、文字通り最長35年まで固定金利でローンを組むことが出来ます。最初に組んだ金利が最後まで適用されるため将来設計が立てやすい反面、他の銀行商品より金利は高めです。また、融資を受ける際は建物にも一定の審査基準が設定されているため、審査に時間を要したり、建物を検査するための費用(適合証明取得費用)が別途かかります。最近は「中古マンションらくらくフラット35」といって、ここに登録のあるマンションは適合証明不要となる制度もあります。
フラット35は借入期間や借入の金額で金利が変わります。期間は20年以下か21年以上かで金利が変わり、借入金額は全体の9割以下(自己資金1割)か、9割以上(フルローン)かで金利が変わります。また、金利は各金融機関ごとに設定されています。
なお、フラット35の商品には基本的に団体信用保険料が含まれています。健康上の都合などで団体信用保険に加入が出来ない場合は団体信用保険を外すこともできます。その場合適用金利から0.2%がマイナスされます。
フラット35の金利
金利は各金融機関ごとに設定されています。
以下は2020年4月時点の一番多い金利をまとめました。
フラット35 は上記のように融資率が9割以下か9割以上かで金利が大きく変わるため、金融機関が1割部分については別のローンを提案し、フラット35と組合わせて2本立てにする事で、合計10割借りられるようにするなど、さまざまな商品が存在します。
フラット35が向いている人
・変動する金利の上昇に不安を感じる人フラット35は最初から最後まで金利が変わりません。そのため、情勢の変動などの波を受けないメリットがあり、将来設計をしっかり立てたい人には向いています。
・転職したばかり、あるいは個人事業などで収入が安定しない人他の銀行と比べると、比較的審査基準に幅を設けているためメガバンクやネット銀行で融資を受けられなかった人でも可能性があります。
・健康に不安があり団体信用生命保険の加入が難しい人フラット35は団体信用生命保険に入れない場合は不加入で融資を受けることが可能なため、健康不安のある方には向いています。
・借入金額を伸ばしたい人フラット35は審査金利がなく、実行金利で審査をするため借り入れが伸ばしやすい傾向にあります。しかし、上限は8000万円までと定められているため、8000万以上の借り入れはできません。
フラット35が向いていない人
・毎月の支払い額を最優先にしたい人フラット35は金利が高めに設定されているため、同じ金額を借りても毎月の返済額はどうしても高くなります。支払いを少しでも安く抑えたい人には向きません。
他の民間ローンで金利優遇されている人固定金利に拘っておらず、他の民間ローンで金利優遇されている場合、人によっては1%前後差が出ることがあります。1%変わると35年間の返済で1000万円ほどの差になりますので、あまり得策とは思えません。
自分の優先順位は何かを考えましょう
住宅ローン商品は金融機関によって本当に様々です。
-
金利優先であればネット銀行やメガバンク
-
審査優先であれば地方銀行、信用金庫、フラット35
-
固定金利希望であればフラット35
-
安定・安心であればメガバンク
など、金融機関を選ぶときはまず自分が何を第一優先にするかを考えましょう。
事前審査はメガバンクを審査を進めつつ、他にも複数の金融機関でも進めてみましょう。
最終的にご自身の将来設計に一番適していると思う金融商品を選ぶことをお勧めします。