本審査とは
住宅ローンの審査には「事前審査」と「本審査」をがあります。事前審査は債務者の収入や借入状況、物件情報などを元に審査され基準をクリアすると承認されます。しかし、これはあくまでもまだ「仮」の承認です。
本審査は公的証明書などと照らし合わせ、更に厳格に審査が行われます。これらすべての基準がクリアされた時に初めて「ローン審査承認」となるのです。
つまり言ってしまえば、金融機関が「このお客様は本当にお金を貸しても大丈夫か」の最終審査になります。
本審査に必要な書類
本審査では、事前審査で行った審査の裏付けを取ることが主になるため、公的証明などの提出も必要となります。また、本審査の申し込みは基本的には金融機関の支店 などで対面で行われます。窓口ですと平日15時までの受付としている金融機関が殆どですので、事前に半休を取るなどして時間を作るようにしてください。
必要書類
- 課税証明 (原本):課税証明は直近1期分でいい金融機関と直近2期分求められる金融機関など様々です。金融機関の指示に沿って準備しましょう。これは1月1日付で住民票を置いている最寄の区役所(市役所)などで取得が可能です。
- 印鑑証明書:区役所などの他、印鑑証明カードなどを持っていればコンビニなどでも取得可能です。
- 住民票 (原本):印鑑証明同様、印鑑証明カードなどを持っていればコンビニなどでも取得可能です。
- 身分証:顔写真付きの身分証(免許証、パスポート)が必要です。当日現物を持っていけば担当の方がコピーを取ってくれることが殆どです。
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保険証:身分証同様、当日現物を持っていけば担当の方がコピーを取ってくれることが殆どです。
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源泉徴収票 ・確定申告など:会社員の方はは、年に1度勤務先などから発行されます。確定申告をしている人は確定申告の写しなどを提出します。
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売買契約書:売買契約をした時、不動産屋から受け取る契約書です。コピーを提出しますが、こちらも原本を持っていけば金融機関で取ってもらえます。
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重要事項説明書:売買契約の際、契約書と合わせて受け取る書類です。こちらもコピーを提出します。
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登記簿謄本:不動産会社から受け取る書類に含まれています。
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物件広告(中古マンションの場合):物件を紹介してもらう時・また内見する時にもらうことが殆どですが、間取りや販売価格などが書いてある「物件図面」と呼ばれる資料です。
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健康診断書:健康状態を審査するため、会社員の人であれば定期健診の診断書、または医者のサインの入った健康証明書などを求められます。
その他、借入を希望する人の状況により、職務経歴書など求められる可能性があります。
また、契約は必ず実印になりますので実印の持参を忘れずに行ってください。
本審査の審査基準
金融機関が本審査で特に重視する点は、以下になります。
- 住宅ローンの返済完了時の年齢
- 契約者の勤務形態や勤続年数
- 返済負担率
- 勤務先の事業内容
- 借り入れ申込み金額と頭金の金額
- 契約者の健康状態
これらを提出された書類を元に審査をしていきます。
国土交通省の調査結果によると、本審査で重要視される項目の上位は以下となります。
1位 「健康状態」(98.6%)
お金を貸した人が病気などで働けなくなったり、亡くなってしまったら貸したお金が返せなくなってしまいます。そのため、健康状態は審査項目の中でも最も重要となります。団体信用保険の加入を必須としている金融機関もあれば、そうでない金融機関もあります。
2位「借入時年齢」(98.3%)
3位「完済時年齢」(97.7%)
借入時年齢と完済時年齢はいわば「この人には何年返済能力があるか」を見る審査です。多くの銀行は80歳前後を完済時年齢と定めています。
4位「担保評価」(97.2%)
万一、債務者が返済出来なくなった時は、購入物件に設定した抵当権を実行して残債を回収します。そのため、購入物件を担保できるか評価する必要があります。
5位「勤続年数」(95.7%)
勤続年数が短くても審査次第で融資を受けることは可能ですが、勤続年数が長い方がより確実です。
6位「年収」(95.6%)
審査には返済比率が欠かせません。その返済比率を算出 するために必要なものが年収です。
7位「連帯保証」(94.9%)
融資を受ける条件として、保証会社の審査が通るか否かが重要ポイントです。万一の事を考え、保証がない場合は融資を受けることはできません。
以下は、主なメガバンクの審査基準です。(2020年5月現在)
本審査にかかる日数
本審査は金融機関によってかかる日数が異なりますが、書類に不備がなければ以下の日数が目安となります。
メガバンク:1週間程度
メガバンクは事前審査の際にある程度しっかりと審査を行うため、本審査に要する期間は比較的短めです。
ネット銀行:10日~2週間
ネット銀行の事前審査は「本審査の土台に乗るか」というところを審査していることが多く、基本的には本審査からが正式な審査となります。そのため、審査に時間を要します。また、楽天銀行は書類が郵送でのやりとりとなりますので、長いと1か月ほどかかることもあります。決済日に間に合うように逆算し、本審査をすすめるようにしましょう
フラット35:1~2週間
フラット35は「人」と「住宅」の条件にクリアしなければいけません。また、フラット35では金融機関の審査以外に、住宅金融支援機構の審査も行われます。そのため、事前審査でもある程度の審査は行いますが本審査にも時間は少し要します。購入物件が適合証明書を要する場合は、適合証明を取得する時間等も計算しておきましょう。
本審査に落ちる理由
事前審査が通っても本審査で落ちる可能性はゼロではありません。では、本審査で落ちる理由とは何でしょうか?
1. 提出書類の不備や相違
公的証明など必要な書類が提出できなかったり、申込内容と大きく違ったりすると審査に落ちる原因となります。
2. 事前審査後に新規で借り入れを行った
事前審査通過後に新規で借り入れを行うと、その金額によっては返済比率に影響がでて審査に落ちる原因となります。
3. 団体信用生命保険へ加入できなかった
団体信用保険への加入が必須の金融機関の場合、団体信用保険への加入が出来ないと融資を受けることはできません。団体信用保険の加入が義務付けられていない金融機関で融資を受ける必要があります。
4. 担保となる住宅の評価が低い
購入物件の評価が融資する金額に値しない場合は、減額での承認、あるいは非承認となる場合があります。
5. 信用情報に記録が残っていた
俗にいう「ブラックリスト」というものです。カード支払いの滞納歴などや消費者金融などからの借り入れがあると審査に落ちる理由となります。
本審査に落ちないためにできること
それでは、本審査に落ちないためにできることがないか確認していきましょう。
1.事前審査の書類控えを参考にしながら、本審査の書類に記入する
事前審査で書いた内容と本審査で各内容に相違があると不審に思われる可能性があります。事前審査で書いた申込内容と相違がないようきちんと記入しましょう
2.団体信用生命保険への加入が難しい場合は、加入の義務がないローンを選ぶ
3.借入金額を洗い出す
審査に重要な返済比率は現在借入中のものも含まれます。そのため、今どのくらい借入があるのかを一度洗い出してみましょう。
4.信用情報を扱う会社に開示を申請する
信用情報に傷があると審査に落ちてしまう原因となりますので、心当たりのある方は一度信用情報を扱う機関に申請し、傷がついていないか確認してみましょう。
本審査に落ちてしまった場合
本審査に落ちてしまった場合は、ローン特約を利用してキャンセルを申し出るor 他の金融機関に申し込むの選択をすることになります。
キャンセルを申し出る場合は、ローン特約が使えるかきちんと確認しましょう。ローン特約については
ローン特約についてを参照してください。
他の金融機関に申し込む場合は、不動産会社(売主)にまず一度相談してください。もし、 結果的にどこも本審査が通らなかった場合は、すでに支払い済みの手付を放棄する必要が出てきます。不動産会社はこれまでに様々なパターンを経験しているため、最適なアドバイスを受けることが出来ますので、本審査に落ちてしまっても物件を諦めきれない場合はまず相談しましょう。
本審査はどの金融機関で行うべき?
最後に、本審査はどの金融機関で行うべき なのかを説明します。
本審査は1つの金融機関に絞る必要はありません。大学を受験する際、本命以外にも滑り止めを受験するのと同じように、複数申し込んでいいのです。そして、複数の金融機関で審査が通ったら、そのあとでじっくり選べばいいのです。
では具体的にどのように金融機関を選んだらいいのでしょう?
まず最優先で本審査をかけるところは、事前審査をした金融機関(ローン特約に記載した金融機関)です。
ローン特約で記載した銀行の本審査をしなかった場合、もしくは申込が遅れたことで売主の定める解除期日に間に合わなかった場合は、ローン特約を使って契約を解除することはできません。すなわち、支払い済みの手付金を放棄し、且つ違約金を支払ってキャンセルすることになります。そうならない為に、ローン特約に記載した金融機関は第一優先で本審査の申し込みを行いましょう。
その他、検討している金融機関
メガバンクだけでなく、金利の安いネット銀行や全期間固定金利のフラット35など、検討している金融機関があれば申し込んでみましょう。今後どのように返済していきたいかしっかりと返済プランを立て、それに一番適していると思う金融機関で最終的に融資を組むことをお勧めします。
必要書類の準備は楽では大変ですが、気になる金融機関があれば
- 審査が通るのか
- いくら借りられるのか
- 金利はどのくらいなのか
- 初期費用はどのくらいなのか
を確認することで、自分に一番適したものを選ぶことが出来るでしょう。