共有名義とは?
不動産の購入には、多額の資金が必要となるもの。そこで、1つの不動産を複数の人がお金を出し合って購入する場合がありますが、このとき出資額の割合に応じた持分(もちぶん)を登記することを、「共有名義」(共有登記)といいます。
共有名義のメリットとは
メリット①:それぞれが住宅ローン控除を受けることができます
住宅ローン控除を夫婦それぞれに適用するためには、夫と妻が別々に独自の住宅ローンを組む(ペアローン)か収入合算して夫婦のうちどちらか一方が「連帯債務者」型の住宅ローンを組む(フラット35の場合など)必要があります。
[注意点]同じ収入合算でも、妻や夫どちらか一方が「連帯保証人」になる連帯保証型住宅ローンを組む場合、主たる債務者しか住宅ローン控除は使えないため注意しましょう。民間の金融機関では、多くが連帯保証のみの取り扱いになっています。連帯債務で借り入れしたい場合は、取り扱いのある金融機関を前もって調べておきましょう。
メリット②:相続税の節税
将来、単独名義である夫が死亡して相続が発生した場合、その不動産の評価額がそのまま相続税の課税対象となりますが、共有名義の場合は、夫の持ち分に応じた部分のみが課税対象財産のため、単独名義の時よりも相続税が節税できます。
メリット③:購入物件の予算が上がる
収入合算することにより、単独名義よりもより多く借り入れができる。
メリット④:売却時の3,000万円特別控除も夫婦ともに受けられる
共有名義のデメリットとは
共有名義にした不動産は、共有者全員の同意なしに売却などをすることはできません。
もし、夫婦が将来離婚することになった場合、売却に際して意思疎通が難しくなり、夫婦間の価格の折り合いがつかないなどスムーズな売却ができないといったことも起こり得ます。また、離婚して一方がその住宅に住み続ける場合など、夫婦2人で住宅ローンを組んでいるケースでは、残った住宅ローンの返済なども含めてトラブルになる可能性も考えられます。
親子の共有名義について
パターン①:親子ペアローン・親子リレー返済
これらのローンを利用した場合、夫婦のときと同様に、親子それぞれが持分に応じて住宅ローン控除を受けることが可能です。
パターン②:贈与の特例が受けられない場合
子が住むための住宅を取得する際に親が子にその取得資金として援助する場合には一定額まで贈与税が非課税になる特例(「住宅取得資金贈与の特例」)がありますが、その特例を使えない場合などで、親からの住宅購入資金の出資割合に応じて共有名義にすることを選択すれば、贈与税はかかりません。
注意点:相続後のトラブル
親の相続財産の相続人が自分だけでなく兄弟などもいる場合、その住宅の共有持分が原因で相続を巡るトラブルが起きてしまうかもしれません。「そのマンションに住み続ける共有者が親の共有持分を、事前の話し合いや遺言などで相続できるようにしておく」など、のちの対策を講じておきましょう。
共有持分割合の決め方
持ち分を適当に決めてしまうと、税務署から夫から妻への、妻から夫への
『贈与』とみなされ、贈与税がかかってしまうことがあります。最終的には税務署や税理士など専門家にご相談の上決めてください。
基本的な考え方としては以下の計算式を参考にしてください。
【基本的な考え方:自己資金 + 住宅ローン / 物件価格 】
例 1)物件価格 5000万円
夫の自己資金700万円・ 妻の自己資金300万円
住宅ローン :夫の単独名義で4000万円
夫の持ち分:700+4000/5000 = 4700 /5000
妻の持ち分:300/5000
※このまま、物件価格分の出資金額( 4700 /5000、300/5000)をそのまま持ち分としても構いませんが、そのまま登記事項証明書(登記簿謄本)に記載され、どのくらいの金額で購入したかわかるのが嫌だと言う場合は(登記簿謄本はだれでも閲覧できるものです)、約分しても良いでしょう。
夫:4700 ÷ 5000×100=94 になりますので
夫の持ち分は100分の94
妻の持ち分は100分の6
例 2)物件価格5000万円
夫の自己資金700万円・ 妻の自己資金300万円
住宅ローン :ペアローンで夫2000万円・妻2000万円
夫の持ち分:700+2000 =2700/ 5000
妻の持ち分:300 +2000=2300/ 5000
2700 ÷5000 ×100 =54 となり夫の持ち分は 100分の54
妻の持ち分は100分の46となります。