返済比率(返済負担率)とは?
返済比率(返済負担率)とは、「年収に対する住宅ローンの年間返済額の割合」のことを指します。
数式で表すと、
返済比率(%)=年間返済額÷年収×100
つまり年収に占める住宅ローン返済額が高いと、「返済比率が高い」と良い、
逆に年収に占める住宅ローン返済比率が低いと、「返済比率が低い」という言い方をします。
銀行などの住宅ローンを貸し出す金融機関は、この返済比率(返済負担率)を基準として審査を行います。
この返済負担率が高すぎると、毎月の住宅ローン返済が困難になることが予想され、結果的に借りたお金を返せなくなるという事態が生じます。
金融機関はこのリスクを回避するため、返済比率の上限を設定しているのです。
では、具体的に返済比率の考え方を見ていきましょう。
金融機関が定めている返済比率(返済負担率)の審査基準はおおむね30~40%程度
下記は主な金融機関の定める返済比率の考え方です。
※下記は目安ですので、すべての金融機関で共通するものではございません。
返済比率の求め方
返済比率は下記の計算方法で求められます。
返済比率(返済負担率)(%)=年間返済額÷年収×100
【シミュレーション】
■年収400万 フラット35にて借入申込の場合における月々の返済上限
①年収400万=返済比率35%以下(フラット35)
②年間返済額=400万×35%=140万←これが年間の返済額上限となります。
③140万÷12か月=約11万6666円←これが月々の支払上限となります。
※上記年間返済額及び月々の支払上限額には金利も含めます。
なお、この支払上限額はこれから融資を受ける物件費用だけでなく、現在返済中のローン等も含まれます。
そのため、例えば現在すでに車のローンやカードローンなどを返済中の場合は、全ての返済金額を足した上限が上記③の金額となることに注意しましょう。
例)【車のローン返済額 3万円/月、カードローン1万円/月を現在返済中の場合】
11万6666円ー(3万円+1万円)=76,666円←こちらが返済額上限となります。
審査はすべての借り入れを含めた審査金利で計算される
上記にて返済比率(返済負担率)の計算式は
「返済比率(返済負担率)(%)=年間返済額÷年収×100」と説明しましたが、ここでいう年収は「税込み年収」、つまり社会保険等が引かれる前の「額面金額」となります。
また、返済比率には先ほど上記にて記載した車ローン、カードローン以外にもクレジットカードでリボ払い、携帯電話の端末代金の分割払いも返済額に加算されます。
きちんと返済しているかもチェックの対象となり、支払いの遅延などがあると審査が通りにくくなります。
また、各金融機関では、審査のための金利(審査金利)を設けているケースが一般的です。
返済比率の審査は実行金利ではなく、この審査金利の利率で計算します。
審査金利とは?
住宅ローンの契約をする際、実際に返済で適用される適用金利のほかに、審査されるときだけ使用される審査金利という仮の金利があります。
住宅ローンの返済は長年に渡る場合がほとんどのため、将来的に情勢が大きく変わった場合でもきちんと返済できるよう審査金利は実行金利より高めに設定されています。
この高めの金利で返済シミュレーションを行い、万一返済の途中で金利が上がったときでも対応できるよう、金融機関がリスクヘッジしているのです。
審査金利は基本的に公開されていないため正確な数値はお伝えできませんが、おおむね3%~4%で設定している金融機関が多くなっています。
なかには、フラット35やろうきんのように適用(実行)金利=審査金利の金融機関もあります。
そのため、返済比率(返済負担率)を計算するときの金利が実際の適用金利か、審査金利かによって、同じ年収でも借りられる額が変わってきます。
年収と返済比率ごとに借入可能な目安を表 にすると下記のようになります。
このように、実際の「適用金利で計算した借入可能額」と「審査金利で計算した借入可能額」には、かなり差が出ることが分かります。
大手の銀行は審査金利を元に融資金額を設定するため、上記表の色をつけた部分の金額が借入できる目安と言えます。
大手金融機関の中には審査金利を4%に定めているところもありますので、その場合、上記よりもさらに借り入れできる金額が下がる計算となります。